落合幼稚園

「ほんもの」の体験が子どもたちの未来を照らす。

緑豊かな環境に囲まれた落合幼稚園は、まるで「トムソーヤの冒険」の1ページに迷い込んだかのよう。広い園庭では、子どもたちが元気に走り回り、色とりどりの花々に囲まれた遊具の間で見せる笑顔が印象的です。
オリジナルの帽子は、全て保護者の手作り。クラスごとに花の名前が付けられており、そのカラーに合わせた帽子は、日常に彩りを添えています。今日も地域の方々に親しまれ、カラフルな帽子が鮮やかに揺れています。

Education Story
 

何かのきっかけになれば、それでいい
いつかの思い出になれば、それでいい
 

「僕がここに通っていた頃は、ドッチボールのスターでした」
笑いを交えながら、和やかに話す冨永園長先生。
自身が幼少期通っていた頃からリトミックや体操、絵画など、多彩なプログラムがありました。それは30年以上経った今も受け継がれています。
「失敗してもやってみればいいと思うんです。興味が湧いても、湧かなくてもいい。
「ほんもの」を体験することで視野が広がり、何かきっかけの1つになればと思っています。」

「ほんもの」にこだわり抜いた教育。
専門講師を招き、手で触り、体で感じながら、好奇心と創造力を育みます。
ハーブ栽培では、子どもたちが自ら育てたハーブを摘み、ハーブティーを味わいます。飲み物に合うクッキーも作り、それはまるでアフタヌーンティーを楽しむ午後の余暇。五感で感じながら視野を広げる大切な機会となっています。

この職に就く前は、幼稚園とはかけ離れた、スポーツ漬けの日々を送っていた園長先生。野球やプロゴルファーとしての経験を生かし、幼稚園の授業の中で教えるほど。その情熱は子どもたちだけでなく、少年野球の監督やゴルフ教室などをし、地域に根ざし、大学生や社会人になってからも園長先生に会いに来る人もいます。

そんな園長先生は幼少期、こんなことを思い描いていました。
「このシンボルツリーに合う、トムソーヤの冒険みたいな遊具を作りたい」
 その夢を実現できたのは、3年前。楽しむだけではなく、安全で、年齢の筋力や体力に合わせた遊具に新調しました。「ツリーハウスやウッドデッキも新たに設置され、大自然の中で楽しんでいます。シンボルツリーはいつも子どもたちを見守ってくれています」

愛情深く接すること、自分も楽しむこと
「お揃い」から生まれた、ほんものの絆
 

落合幼稚園の門をくぐると、目に飛び込んでくるのは、子どもたちの明るい笑顔と、先生たちの楽しそうな姿。子どもたちと同じ色のエプロンを着て「お揃い」を楽しむことも、落合幼稚園ならではの光景です。

先生たちが心から楽しんでいるからこそ、その楽しさが子どもたちにも伝わり、幼稚園全体が温かい雰囲気に包まれています。

「幼稚園の先生になりたいと言われた時は、この仕事をしていてよかったと心から思いました」12年目の亀山先生は、優しく穏やかな声で、その時のことを思い返していました。

「ほんもの体験」は、子供たちだけではなく、先生たちも。絵画教室の講師から、ふと発せられた「筆はお漏らししちゃうから、少しねかせて書いてあげてね」といったユニークな声かけ。普段の制作のシーンでも取り入れられ、子供たちの創造力を引き出す手助けとなっています。

「自分では思いつかないよう声かけでした。専門講師の方から教わる「ほんもの」は普段の教育現場でも活かされています」亀山先生は、ほんものの体験ができる環境に感謝しながら、現場にどう生かせるかを常に考えており、それは園全体を見渡すものでした。

「小さい体で大太鼓を抱え、みんなで息を合わせたパレード。練習に励んだ子どもたちのことを振り返ると、今でも感動します」目を輝かせながらこう語るのは6年目の川口先生。

50年以上にわたり参加している区の伝統的なお祭り。子どもたちは年少から楽器に触れ、年長になるとパレードに向けて本格的な練習を始めます。歩きながら演奏するのは簡単ではありませんが、1つのことを成し遂げる喜びを感じられ、園生活の集大成ともいえるイベントです。
 

Work Image

様々なバックグラウンドを持つ先生がそろう、落合幼稚園。「こうしたらどうですか？」と提案すると「それいいね！」と肯定し、異なる意見だったとしても「それもありだね」と柔軟に受け入れてくれる、風通しの良さ。

「現場の声を大事にしたい」
先生たちの趣味やリフレッシュの時間を持てるようにするのもその一環です。ピラティスを始めた先生がいたり、夏休みには海外旅行に行く先生もいたり。

「私は園長先生がきっかけで、ゴルフ教室に通い、小学生と一緒にコースデビューを果たしました」
川口先生は頬を赤くしながら、少し恥ずかしげに語ってくれました。

休み明けの職員室では、お土産を持ち寄りながら、和やかな会話が響き渡ります。