認定こども園　瑠璃幼稚園

「できる」を増やして助け合い、分け隔てない心を育てる。

2023年9月に新しくできた、八角形、木造平屋の大きな園舎。木の香りに包まれる広い園内には、雨の日でも子どもたちが思い切り体を使って遊べる、大きな遊具があります。近くには、園専用の農園もあり、さつまいも堀りやトマトやブドウの収穫の体験を通して、植物の成長の様子を観察したり、食べ物に感謝する心を育てています。
 

Education Story
 

ありがとうを大切に
できることを増やせる環境を
 

「子どもたちは小さな大人。ひとりの人間として、ここまでしかできないと制限するのではなく、今以上を目指して成長してもらいたい。」そう話すのは、園長の波多江 教雄先生です。
祖母の代から50年以上続く幼稚園。園長になってからは、15年ほどになります。

園の特徴の一つが、「バイキング形式の給食」です。自分が食べられる分だけ取って、配膳します。２歳の子どもも挑戦しているそうで、「もちろん2歳はできないので、ちょっとずつですね。年上の子たちに手伝ってもらいながらやってく感じかな。」と波多江先生は話します。初めは職員たちも、小さな子どもたちにはできないと思っていたそうですが、できると信じてやるしかないと思い、今はサポートして子どもたちの成長に寄り添っているそうです。

一方で、波多江先生は、1603年に建てられたお寺の13代目住職でもあります。命の終わりに関わることも多いという波多江先生は、職員朝礼で、「亡くなった方がいらっしゃると、どのような亡くなり方をしたかっていうのとかを先生たちに話をして、こういう生き方があるんだなって考えてもらう。そして自分たちが生きるということは簡単なことじゃないんだなって考えてもらう。」と話します。
また、子どもたちには、「ありがとう」を口癖にしましょう。と伝えているそうです。その教えを大切に、子どもたちは、折り紙1枚もらった時でも、「ありがとう」と言える習慣がついていると話していました。
 

年齢や国や言葉が違う人と関わり
気づきと成長を促す
 

瑠璃幼稚園では、毎日午前中を縦割り班活動、午後を年齢別の活動にあてています。
「縦割りと年齢別だと、子どもたちの中で気づきが違うんです。」と園長先生は話します。
絵を描く時間も、縦割りだと、お兄さんやお姉さんがお手伝いしたり、お手本を描いてくれたりする。年齢別の時間では、一人ひとりが好きなように絵を描く。日々の活動の中で思いやりの心が育ち、給食の時間には、年上の子がお箸の使い方を教えてくれることもあると言います。さらに、卒園して小学校に入った子が、園に立ち寄って、お世話した子たちの様子を見に来ることもあり、「卒園した後も繋がっていてくれて嬉しい」と園長先生は話していました。

もう一つ、瑠璃幼稚園の特徴は、トイレが全て「和式」なことです。子どもたちは、選択肢がないので、使い方を覚えていくしかありません。「経験することによってできるようになる。できるようになれば、今後社会に出ていった時に、和式トイレを怖がることがなくなる。」世界中に和式スタイルのトイレは数多くあります。経験したことがあれば、世界中どこへ行っても困らないと話していました。

グローバルな視点での教育では、週に１回外国の先生による授業も行っています。英語をはじめ、様々な国の言葉で、きらきら星を歌ったり、じゃんけんをしたり、絵本を読んだりしています。世界に興味を持ってもらい、どんな国や言葉の人でも分け隔てなく仲良くなってもらいたいという思いがあるそうです。
 

Work Image

お話を伺ったのは18年目の先生と２年目の先生。
初めは話しかけてこなかった子どもが1年経って話しかけてくれるようになったり、トイレができなかった子どもができるようになったり、子どもたちの成長を間近で感じられる事が嬉しいと話していました。

瑠璃幼稚園の良いところは、職員の関係性の良さだと言います。普段の会話の中で気軽に声掛けができる環境で、助け合って保育をしているそうです。
2歳のクラスを受け持つ2年目の先生は、細いひもにビーズを通す取り組みをしようと思っていた時、先輩に相談したところ、「2歳だと難しいかもしれないね。ストローを短く切って添えるとやりやすいと思うよ。」とアドバイスをいただいたそうです。

また、瑠璃幼稚園では、園長先生から「週題」が伝えられ、その週題に沿って先生たちは子どもたちの遊びなどを考えています。「七夕」など季節や行事に合わせたものもあれば「水天一碧」など少し難しいものも。1つのお題について先生たちで話し合う機会が定期的にあることも、話しやすさに繋がっているそうです。

さらに、大学の先生を招いて研究発表などの研修を行なったり、体操や太鼓の研修など、保育につながる研修も充実しています。18年目の先生は、以前研究発表で、1日の準備を歌にするという発表をしたそうですが、今でもその時作った歌を子どもたちが歌いながら準備をしてくれていると話していました。